伊東達矢校長ブログ
2025.03.08
常識を疑え
3月8日の卒業式の式辞でこんなことを話しました。
ご卒業、おめでとうございます。
みなさんとは、4年生からのお付き合いですが、1年生のころに比べて心身ともにみんな大きく成長したことでしょう。
そのことは、先週の金曜日、ランチルームで1年生と給食交流会をしたとき、実感したのではないでしょうか。1年生は、そのからだやしぐさはもちろん、話し方も食べる量も、かわいいものだったでしょう。みなさんにもそういうころがあったのです。一方、1年生にしてみれば、「いずれ自分もこんなおねえさん、おにいさんになるんだ」と、6年生のみなさんをまぶしく、あこがれる気持ちで見ていました。また、いまここに在校生代表として参加している5年生たちも、1年後の自分の姿をみなさんの中に見ています。
意識しないと、変化には、なかなか気づけないものです。
みなさんの多くが生まれた2012年、日本で生まれた子どもの数は103万人でしたが、2024年生まれの子どもは73万人です。2012年、日本の家庭の2割にしかスマホはありませんでしたが、いまやスマホの普及率は97%になりました。
わたしたちを取り巻く社会は、めまぐるしく変化しています。これから先、ますます変化の速度は上がっていきます。
こうした中、若いみなさんに、心得ておいてほしいことがあります。それは「常識を疑え」ということです。もちろん非常識な行動をしろということではありません。「当たり前だとされていたことに疑問を持て」という意味です。自分が普通だと思っても、別の見方をすれば、全く普通でないことがあります。
いまから出す問題で考えてみてください。
ここに8フィートの長さの材木があるとします。これを半分に切り、それによってできた2本をまた半分に切り、それをさらに全て半分に切ると、全部で8本の材木ができます。では、その8本それぞれの長さは、何フィートでしょう?
普通は1フィートと答えます。けれども切り方を変えれば、8フィートという答えもありえます。半分に切るとき、縦に切るのです。そうすれば8フィートの材木が8本できます。
これはイギリスの有名な「くまのパディントン」シリーズに出てくる話です。この話のポイントは、常識にとらわれないところにあります。
材木を半分に切るといえば、横に切るというのが常識で、縦に切るなんて普通は考えつきません。でも、常識というのは、その社会で当たり前と思われていることに過ぎませんから、住む世界や世代、育った環境や時代の変化によって違って当然です。
変化の著しい時代を生きるみなさんには、常識を疑い、広い視野のもと、答えが一つではない世界で、信念を持って生きていってほしいのです。「昔から決まっているから」「人から言われたから」「みんなそうしているから」といったことに疑問を持つようにしてください。
保護者のみなさま、ご子息、ご息女のご卒業を心よりお祝い申し上げます。子育ての卒業までには、まだ長い道のりがありますが、小学校を巣立つわが子の姿を目の当たりにされたいま、一区切りを迎えられたのではないでしょうか。
親にとって子どもの成長は喜ばしいことであり、同時に少し寂しいことでもあります。立派に成長したご子息、ご息女は、「自律と感謝の気持ちで社会に貢献する」という校訓を体現し、自律の心を身につけ、親への感謝の気持ちを持つに至ったはずです。そんなわが子を誇りに思い、ご自身の子育てを振り返ってください。
これまで本校にひとかたならぬご支援を賜りましたことに、厚くお礼申し上げます。
第十期卒業生たちの未来に幸あれと願い、わたしからの贈る言葉とします。


伊東 達矢
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