伊東達矢校長ブログ
2025.01.15
適性検査
1月11日(土)、愛知県初の県立中高一貫校付属中学4校の入学者選抜が始まり、適性検査が行われました。公立の中等教育学校および併設型中学校では、学校教育法施行規則により、入学者の決定に当たって学力検査を行わないことになっています。だから入学試験ではなく、適性検査と呼ぶのです。適性検査は、小学校学習指導要領の範囲内から、小学校の教育活動を通して身につけた知識・技能を活用した思考力・判断力・表現力等を測る検査であり、教科で区別せず、教科横断的に出題されます(愛知県では英語は出題されません)。
適性検査の問題を見る限り、学力検査ではないと言うには無理があります。
実際の問題を紹介しましょう。適性検査にはⅠとⅡがあり、それぞれ大問が3問ずつ、解答時間は各45分です。全て選択式で解答用紙にマークします。
適性検査Ⅰの大問1は、年中行事についての出題で、(1)~(4)の設問があります。
(1)は年中行事がさかんに行われるようになった平安時代と関わりの深い文を、7つの選択肢(各40字弱)から2つ選ぶもの、(2)は年中行事の名称(七夕、月見、桃の節句、節分)を月ごとに入れるもの、(3)は4分の4拍子の曲「こいのぼり」の楽譜の空欄に当たる音符の種類を選ぶものと、『枕草子』にある端午の節句の風習に当たる写真(菖蒲枕)を答えるもの、(4)は年中行事について書かれた約1000字の文章を読み、その内容を整理した「まとめ」(約280字)の説明として「適当でないもの」を、4つの選択肢(各60字程度)から選ぶというものでした。教科横断的と称するだけに、社会、音楽、国語の知識の活用が求められ、明らかに学力の検査です。
文章の構成を問う(4)の問題には、近年の大学入学共通テストの国語の出題傾向が色濃く反映されています。選択肢のうち「適当でないもの」を答えるところもそっくりです。ただ、アとエの選択肢に使われている語句が複数箇所で符合すること、ウとエに同じ言い回しがあることなどから、選択肢を見比べて答えが予想できてしまうのは、この種の作問の限界でしょう。
適性検査Ⅰ大問1(4)の選択肢です。
ア 筆者が示した問いに対する答えの内容を中心に、この文章で伝えようとしている筆者の考えがはっきりとわかるようにまとめている。
イ 年中行事が行われるようになった背景や、祖先が年中行事にこめた思いについては、具体的な例を省略して簡潔にまとめている。
ウ はなれたところにある文と文をつなぎ合わせたり、指し示す言葉やつなぐ言葉を適切に使ったりすることで、短くても要点をとらえた文章になっている。
エ 全ての段落から、筆者の考えが述べられている文をそれぞれ抜き出すことで、この文章で筆者の伝えたいことが明確になっている。
内容を整理した「まとめ」の説明ですから、アの「はっきりとわかるようにまとめている」、イの「簡潔にまとめている」、ウの「短くても要点をとらえた文章になっている」、エの「伝えたいことが明確になっている」という部分はいずれも正しいに決まっています。したがってそれ以外の部分を点検して「適当でないもの」を選びます。
1月18日(土)には新課程初の大学入学共通テストが行われます。新教科である情報の導入や地理歴史・公民等における出題科目の再編のほか、国語では従来の論理的な文章、文学的な文章、古文、漢文に加え、実用的な文章が出題され、試験時間が延長されます。
こうした出題傾向は、高校入試、中学入試を含む他の入試問題にただちに影響を及ぼします。時の入試問題にアンテナを張ることは、子どもたちの教育に携わる者にとってますます重要になってきています。
伊東 達矢
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