伊東達矢校長ブログ

2023.11.17

子どもの声がしない学校で

 11月9日(木)、愛知県内全域にインフルエンザ警報が発令されました。名進研小学校でも欠席者が急増したため、11日(土)から5年生を学年閉鎖、2年生1クラスを学級閉鎖としました。13日(月)、他学年にも欠席が増え、14日(火)からきょう17日(金)までの4日間を学校閉鎖としました。コロナ禍の経験を踏まえ、授業はリモートで行っています。また保護者面談期間中でしたが、希望する家庭はウェブ面談に切り替えました。

 ICTを活用することが学校教育の世界で当たり前になりました。学びを止めないためには有効な手立てのひとつにちがいありません。けれども子どもたちには、集まっていっしょに活動する場所と時間が必要です。人は書物や映像から得られる知識だけでは生きていけません。ともに語らい、ときにぶつかり合うという対面での経験を通して身につける社会性が、生きていく上で大いに頼りになるのです。

 子どもたちの声がしない学校に来ていると、なんとなく気持ちに張り合いがなく、気の抜けた感じがしてなりません。いつもなら子どもたちが走り回っているグラウンドも、英語のフレーズをいっしょに発音する声が響く教室も、きょうはひっそりとしています。校長室のぬいぐるみたちも、相手をしてくれる子どもがいなくて寂しそうです。

 学校閉鎖前、校長室に来た3年生の男の子3人が話してくれた内容です。今月のお題は「がまんしたこと」。

「500個以上のレゴブロックで10日間かけて30センチぐらいのサメを作った。たいへんだったけれど、すごくいい出来ばえだった。なのに、妹に壊されてしまった。ぶっとばしてやろうと思ったけれど、妹は5歳でかわいそうだから、ぼくはぐっとがまんした」

「昼休み、4人で『こっくりさん』みたいなゲームで遊んでいたら、クラスの子が突然ぼくをたたいてきた。痛かったし、腹が立った。でも、その子もゲームに参加したかったんだとわかったのでがまんできた」

「2つ上の兄にぶんなぐられた。やりかえそうとしたけれど、パパに止められた。それでもやりかえそうとしたけれど、今度はママに止められた。誰もいないときにやろうとしたけれど、よく考えたら兄がピアノをしていたときにぼくがうるさくしたからだったから、がまんすることにした」

 子どもたちの日常には実にいろいろなドラマが起きています。大人なら忘れてしまうようなことであっても、子どもには一つ一つが大切です。いまを生きる子どもは、毎日貴重な経験を積み重ねています。

 人との交わりなくして人としての成長はありません。学校閉鎖が解除されたら、また子どもたちの話に耳を傾けようと思います。

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