伊東達矢校長ブログ

2023.05.29

学校は楽しい

 学校は楽しいところでなくていけないと思っています。子どもたちにとっても、先生たちにとっても楽しい、それが理想の学校です。苦しかったり、つらかったりするときもあるけれど、それを越えた楽しさがあれば、きっとそこで成長できると思うからです。子どもたちが生き生きと楽しく学校生活を送っているとき、その場にいる先生も生き生きと楽しくしているはずです。時には厳しくすることがあっても、先生自身が教師という仕事に自信を持ち、なにより楽しいと思っていれば、子どもたちは学校が好きになります。
 家庭はどうでしょう。親子ともども楽しく家庭生活を送っているでしょうか。
 仕事から帰ってきたとき、子どもは宿題もせずにゲームをしていました。親としては叱りつけたくなるでしょう。目をつり上げ、「どうしてやるべきことをしないで遊んでばかりいるの! 何度言えばわかるの?」。
 でもあまり効き目はなさそうです。何度も繰り返しているのがその証拠です。それに親にも子にも、けっこうなストレスになります。
 親の期待に応えようとするのは子どもの心理です。でもその期待に添えないことがあります(能力的にではなく、たいていは優先順位的に)。子どもは敏感ですから、期待に応えると親の期待がもっと高まることを本能的に知っているのかもしれません。いずれにせよ、親の「あなたのことを思って言っている」というメッセージは、子どものプレッシャーになっている可能性があります。だから子どもは自己防衛のために聞き流すのです。
 親が楽しい人生を送っていることを子どもに伝えましょう。充実した日を送っている親を見れば、子どもは自分もそうなりたいと思い、自らを律するようになります。ロールモデルとしての親なら、子どもに圧をかける必要はありません。「ママ(パパ)のような豊かな人生を送るために、あなたもがんばってね」という姿を見せればいいのです。
 わたしは校長室に来る子どもたちに「学校は楽しい?」と聞くことはしません(「楽しくない」って言われたら困りますから)。こちらから「わたしは学校が楽しい」と言うようにしています。「どうして?」と聞かれたら、「元気で賢い(あなたのような)子どもに会うと、自分も元気で賢くなれそうだから」と答えます。
 調子のいいことを言っているようですが、これは本音です。子どもたちに接していると、楽しいということ以外に何もない時間こそ大切にしなくてはと思えてきます。朝、目が合った子どもがにこっと笑って「おはようございます」とおじぎします。わたしも嬉しくなって自然に笑顔になり、「おはようございます」。帰りには「さようなら、ごきげんよう」と声をかけます。するとぱあっと顔が明るくなって「ごきげんよう、さようなら!」と元気に返してくれます。こんな子どもたちとの毎日のやり取りが楽しくないわけがありません。日々わたしに元気と活力をもたらしています。
 子どもは大人が一方的に教える存在ではありません。子どもだって大人に気づきと刺激を与えてくれるのです。

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