伊東達矢校長ブログ
2022.04.11
私学の教育
名進研小学校は、進学塾がつくった全国3番目の小学校です。最初は1993年開校の朝日塾小学校(岡山市)、次いで1995年開校の池田学園池田小学校(鹿児島市)、そして2012年開校の名進研小学校です。
塾が母体なのだから中学受験に特化した授業をしているのだろう、そう思われているはずです。当然の認識ですし、実際に名進研小学校も「塾に通う必要はない」と標榜してきました。ですからわたしたちにはその期待に応える責務があります。
しかし、「公立小学校+進学塾」の代わりというだけで私立小学校の教育が成り立つわけではありません。
私立小学校も義務教育ですから、塾や予備校にはない授業や行事があります。受験科目ではない授業や学校行事においては、公立小学校ではできない多彩な経験の場を用意し、子どもたちの人間的な成長を期しています。
名進研小学校の取り組みを紹介します。
子どもが司会者となる授業。時間配分やまとめ方などを事前学習し、授業をマネジメントすることを通し、自分で答えを見つける力を養成します。
校内の厩舎で行う生命を尊ぶ心を育む特別授業。馬を撫でたり、心臓の音を聞いたりする触れ合いから始め、高学年では乗馬体験へ進みます。人間性の育成をねらいとしています。
茶道、華道、礼法、着付けを学ぶ「伝統文化」の授業。外国人による英語授業だけでなく、日本の伝統を学ぶことも、国際人教育の一環として非常に重要であると考えます。校内に和室や能舞台を設けています。
「主屋(おもや)」と呼ぶ学年を超えた縦割りのグループを単位とした活動。学校行事で年齢や立場を超えて関わり合い、社会性やリーダーシップを身につけます。
施設・設備では、公立学校の1.5倍、90㎡の面積を確保した普通教室、冷暖房完備の体育館、校内調理の給食とランチルーム、桜やどんぐりの森を保存した里山や小川など。この夏には多目的教室棟が完成し、アフタースクールの活動にもさらに選択肢が広がります。
人格形成の基本となる6歳から12歳という時期、このような環境の中で、思いを同じくする仲間とともに過ごす経験こそ、私立小学校に通う大きなメリットです。
卒業生の進学実績を見て「入りやすくてお得な学校」と言う向きがあります。外から分かるのは合格者の数ぐらいですから、そんな言い方もしかたないのかもしれません。けれども、学校の教育の成果が――たとえ進学校であろうと――進学実績だけで語られるような風潮はたいへん残念です。
同じ学校の仲間とともに過ごして得られた価値を数字に表すことはできません。だからこそ、学校教育に携わる者は、学びの場にいる子どもたちの日々の変化に目配りをし、その立場に寄り添う気配りをし、未来に実りがあるように心配りをするよう日々努めなくてはいけないのです。
進学実績と呼ばれるものは教育の一端に過ぎません。子どもが学校で出会えた経験を大切に思い、保護者が子どもを通わせてよかったと思えること。それが教育の真の成果であり、教師にとっての最大の喜びです。
伊東 達矢
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