伊東達矢校長ブログ

2022.04.22

いじめ

 学校におけるいじめ問題は、どの子どもにとっても、どの保護者にとっても、そしてどの教員にとっても深刻で、強いストレスになるものです。文部科学省もいじめについて、「どの子どもにも、どの学校においても起こり得るもの」とし、特に次の点を踏まえて適切に対応する必要があると言っています。

1.「弱いものをいじめることは人間として絶対に許されない」との強い認識を持つこと。

2.いじめられている子どもの立場に立った親身の指導を行うこと。

3.いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりを有していること。

4.いじめの問題は、教師の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であること。

5.家庭・学校・地域社会など全ての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって真剣に取り組むことが必要であること。

 確かにそのとおりです。大国ロシアのウクライナ侵攻はまさに「弱いものをいじめること」であり、「絶対に許されない」ものですが、悲しいかな、現実に起きています。

 だから「いじめゼロ」を目指すのではなく、いじめは「どの子どもにも、どの学校においても起こり得る」のだから、起きたときにどう対処するかを考えておくべきなのです。

 学校では、いじめをした子どもに「反省文」を書かせることがよくあります。

 でもうわべだけの反省文を書かせても、後悔はするかもしれませんが、心から悪いことをしたとは思わないでしょう。いくら説教しても、表面はしおらしくしていながら、内心「早く嵐が過ぎ去らないかな」と舌を出していることだってあります。

 また、いじめた子どもに、いじめられた側の気持ちを考えさせてもあまり意味はありません。そもそもいじめられる側の心情をわかっていじめているのですから。もちろんいじめられた子どもへのケアが最優先されるべきなのは論を俟ちません。

 クラスで目立つ子がいるとしましょう。

 授業でよく手を挙げ、クラスの委員長を務め、スポーツも万能。先生の評価も高い。でもそういった優等生がいじめにあうことがあります。

 理由は単純です。その子が周りから注目される存在だからです。そのことを妬ましく思う気持ちがいじめにつながるのです。

 いじめる子は、本当は自分も注目されたい、認められたいのです。でも現実はそうはいきません。

 そんな子に対し、周りの大人、特に親は「あなたはそのままでいい」と認めてやってほしいと思います。自己肯定感の低い子は、その不満をほかの子にぶつけがちです。それを防ぐには、親は子どもに、「こうなってほしい」という期待ばかりでなく、「そのままでいい」という無条件に愛する姿勢も見せるべきです。

 いじめる子には、「いじめは許されない」と叱るだけでなく、「どうしていじめたくなるのか」を考えさせ、そこに潜む自分の不満や憤りといった感情を吐き出させることで、初めて本当の意味での反省を促すことができるのです。

 自分が親の期待に応えられていないと感じる――多くの場合、成績が芳しくないとき――子どもは、それを素直に口に出せません。言うには勇気がいるからです。宿題の答えを丸写しして、そんなことはしていないと強弁する子どもは、できない自分を見せられないのです。いじめをする、しないに関係なく、すべての子どもに対し、期待とともに受容の姿勢で接していきたい、そう思います。

 

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