伊東達矢校長ブログ
2022.10.27
読み聞かせ
読み聞かせは、本を読むきっかけにつながり、話を聞く練習にもなると言われ、広く家庭や学校で行われています。読む側はぜひ楽しく読む姿勢でいたいものです。子どもに読書の習慣をつけなくてはといった気持ちが上滑りするとうまくいきません。
子どもは楽しいことが大好きです。読み聞かせでも、読む側が楽しく読んでいれば、子どもたちはきっと身を乗り出して聞いてくれるはずです。その結果、自分でも本を読んでみようという気持ちが芽生えることでしょう。
わたしが選んだのは、マイケル・ボンド作『パディントンとテレビ』でした。ブラウン家に引き取られたくまのパディントンがテレビ番組に出演し、賞金の出る問題に挑戦します。簡単なクイズで大金を出す番組に、人をばかにしているとブラウンさんは批判的です。ところがパディントンは、司会のロニー・プレイフェアー氏が用意したのとはまるで違う答えをします。「残念でした!」と言いつのる司会者に、パディントンはそのつど丁寧に自分の答えを説明します。そして意表を突いた答えで、ついに500ポンドの賞金を手にすることになるのです。
教室へ持って行ったその本は、わたしが小学生のときに買ってもらったものです。何度も読み返し、英語の原典にも当たった大好きなお話です。半円になって座った3年生のお友だちは、読み聞かせをするわたしの顔をじっと見つめ、息を殺して耳を傾けていました。すっかり暗記していても、大好きなお話は読み飽きません。読み聞かせをする自分自身、楽しくて幸せな気分になりました。
本を読むのは楽しい。でも本を読むと国語の成績が上がるというのは短絡に過ぎます。読み聞かせは本の楽しさを知るきっかけになればいいのです。成績を上げようといった下心で本を読んでも長続きしないし、だいいち楽しくありません。
世の中には読み切れないほどの本があります。技術や手法を学ぶ実用書もありますが、子どもたちには心あたたまる本にできるだけたくさん触れてもらいたいと思います。楽しくて愉快なお話を知ったら、きっと誰かに話したくなるでしょう。
読み聞かせをした翌日、3年生の男の子2人がパディントンシリーズの本を借りに校長室へ来ました。情操教育というようなおおげさな目標を掲げるまでもなく、子どもたちには広くて豊かな本の世界にひたってほしいと願うばかりです。
伊東 達矢
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